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高校でいじめられていた。
会社でもいじめられている。
親からも、お前はどんくさいからって呆れられた。
別にどんくさくなりたかった訳じゃない。
少しでも良くしようと頑張ってきた。
頑張って、
がんばって、、
…がんばって、きたんだけど。
「…もう、疲れちゃったや」
こぼれた言葉は誰もいないホームに転がった。明るくなってきたとは言え、始発を待つ人はこの駅にいない。
…もう泣く気力すら残ってはいなくて、涙も出てこない。
プルルルルルーー。
電車が到着する合図が鳴る。目も覚めそうな音の中、私の耳に少年の声が聞こえた。
『ネぇ、コッちに来テ?』
下に向けていた視線をハッと上げると、目の前に5・6歳くらいの男の子がいた。何でだろう…目が離せない。
『ほラ、こッチだヨ!』
手を引かれて1歩足を出す。1歩、また1歩と前へ進む。次の1歩……と、踏み出した途端、私の身体はフラっと前へ倒れた。
そこからはスローモーションのようで…運転手のおじさんと目が合った。おじさんは驚いた顔をして、慌ててブレーキを掛けてるようで…。
そんなことを冷静に考えていると、ドンッと身体に衝撃がきた。
…気がつくと線路の中にいて、視線の先では男の子がニッコリと笑いながら手を振っていた。
『モう、こレデ、くルシクないネ』
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