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ツヨポンは夜なべをして
ドレス〜を編んでいた〜♪
徹夜で編み物をしていた剛は、ハイになり無意識に歌を口ずさんでいた。
編み物の専門学校に通う猿渡剛は課題の『よそ行きニット』を作成していた。大抵の学生はセーターとかワンピースを作っていたが、剛はお呼ばれにも着ていけそうなドレスを作っていた。
男子とは思えない細くしなやかな指で毛糸を操る。軽くウェーブした前髪の下から見える微笑みを浮かべるその顔は、まるで女神のようである。
繊細かつ豪華なバラのモチーフ編みを幾つもつなげたトップスと、膨らんだ膝丈のスカートをつなげた上品なカナリア色のドレスがほぼ出来上がっていた。
「あとは裏地を付ければ出来上がり〜」
そこで一息つこうとコーヒーを飲みにキッチンへ向かった。作品を汚さないよう、部屋では飲食をしないようにしていた。
「ファ〜。あ、剛おはよう〜」
丁度母親も起きてきた。
「ママおはよ……!!! ママ! 髪、どうしたの!?」
「え?」
剛に指をさされ母親は寝癖が酷いのかと髪を触った。
「髪……髪の毛……」
剛の狼狽えように不安になった母親は「え〜、何よ〜」と言いながら洗面所に行って鏡を見た。
「イヤ〜〜〜!!!」
鏡を見て母親は驚愕した。
髪の毛が真っ白になっていた。
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