Eternal Punishment

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 流石に、今日の収容所内のざわつきを収めることは不可能に思えた。主任の指示で、私は人間たちをこの大きなホールに召集させていた。この中にいる人間を全て集め終え、主任がディスプレイをステージ上に投射した。 「皆さん、ごきげんよう。アストリア大統領のレイチェルです」  彼女に対する人間たちの反応は様々だ。その美貌で慕うもの、人間への圧政の実行者だと糾弾するもの、ただ単に嫌うもの……。叡智の女神とも歯車仕掛けのメシア、マザーオブマーシナリーとも呼ばれる程に、全てのロボットたちから崇拝される彼女を冒涜することもまた、罪に等しい。が、今日は主任以下全ての執行官が人間を逮捕してはならないとのお達しが、我々の更に上より届いていた。私含め皆不可解に思ったようだが、これもレイチェルの深遠たる計画なのだろうと、強く疑問に思うことはなかった。唯一、主任だけは何か彼女から聞かされたようだったが、守秘義務ゆえに聞いても無駄なことは自明だった。 「突然の公式放送に驚いたかと思います。ですが今日、私は皆さんに大事な話をしなくてはなりません。まずは、3日前より発令した隕石避難勧告についてです」  アストリア西部、ここからはホバーバイクで3時間、車で1週間程の距離一帯に、隕石が落ちることが宇宙局の報告で判明している。住民たちは3日前に出された避難勧告で既に避難を終えている。 「避難勧告を今日午後6時で、解除します」  これは人間たちにも衝撃的だったようだ。ホールのざわつきが大きくなる。一体彼女は何を言っているのだろう? 隕石の落下予測はあと2時間後だ。いくら正確無比を誇る宇宙局の計算でも、それでは解除が早すぎる。落ちてきた破片で帰ろうとした住民が怪我をする可能性もある。 「きっと今皆さんは驚いていることと思います。これから理由をご説明します。少し長くなりますが、国民の皆さんがしっかりと理解して下さることを願います。さて……まずこちらを見て下さい」  彼女の後ろのモニターに、何やら旧式の如何にもロボットらしいロボットが映し出された。あまりな見た目に私は思わず笑いそうになった。 「アストリア国営会社、カレル・チャペック社が開発した新型ロボット、名付けて『ヒューマノイド』です」  カレル・チャペック社と言えば彼女が監督している会社だ――――まさか、研究とは、こんなチャチなロボットの開発だったのか?
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