Eternal Punishment

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「見た目がまだまだ良くないのは承知済みですが、この『ヒューマノイド』にはかつてない特徴があります」  そこで彼女は大きく微笑んだ。 「それは、今までより遙かに低コストながらも、我々にほとんど匹敵する知能回路を搭載しており、なおかつ、その大量生産が可能であるという所です」  今度は執行官側からの無言のどよめきがあった。ロボット1体を生産するコストを考えると、大量生産が行えるのは本当に革命的だ。 「特に単純な労働作業や計算、書類作業、工事現場での運搬など、雑用や肉体労働に最適な作りとなっております」  対して人間側はというとどこか上の空という感じだ。確かに人間とロボットでは、生産コストはどうあっても人間に軍配があがってしまう。だからこそ彼らは収容所に入れられながらも着々と数を増やしているのだ。 「この『ヒューマノイド』の発売を明日より開始します。お求めはカレル・チャペック社までどうぞ」  画面にカレル・チャペック社のホームページが映った。サイトのホームには大きくレイチェルの写真が映っている。 「さて、この『ヒューマノイド』が私の政令と何の関係があるのか、疑問に思うのは当然です。しかし、その前に昨今起きている凶悪犯罪を思い出していただきたいのです。……殺人、脅迫、窃盗。この前述べ24体のロボットが殺された事件、皆さん覚えてますよね? ――――そう、全て収容所より脱走した人間の手によるものです」  その事件は私たちに大きな衝撃を与えた。男が突然、ロボットを冒涜する言葉を叫びながら銃を滅茶苦茶に乱射し、その場にいた沢山の罪のないロボットたちが殺されたのだ。それ以降、脱走する人間の数も増えてしまった。 「しかし、私たちは国を動かすのに数がどうしても足りないのです。彼らがいなくなったら貴方の行くレストランのトイレは誰が掃除するのでしょうか。バスの運転は、ゴミの処分は? ……ですが、ご安心下さい。明日からは全国的にこの『ヒューマノイド』が人間に代わってその仕事を引き受けることになります。人間たちをもう外に出さなくても済むのです」  これはなぜか人間側からも歓声があがった。……単純なことだ。労働から解放されたことだけでこんなに喜べるとは。
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