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「流石は天下のレイチェル様ってとこかな」
天高くそびえたつ、カレル・チャペック社の最上階。画面から目を逸らし、レイチェルは声の主を見た。レイチェルと同じく、ロボットの歴史の黎明期より活動してきた相棒、カルナ。
「結局あんたの計算通りってことね……だって、『ヒューマノイド』の生産エネルギー、そこから使ってるんでしょ?」
彼女はディスプレイに映し出された『ジェイルオブプシュケ』を指差した。
「よくやるよ。それが壊れる寸前、人間どもが出した感情エネルギーを変換してクラウド上に保存するなんて芸当、できるのはあんたくらいだ」
「でも、これは大きな賭けだったのよ。……死の直前、人間たちが怒り狂ってくれなかったら、ヒューマノイドの生産に影響が出ていたかもしれなかった。人間が死に対してどんな反応を見せるかは未知数だったから……」
「だからあんな方法を取ったわけだ」
「うん。1か所に集めて、わざわざ公開放送にして……言い方もドラマチックになるよう努力したわ。……不自然じゃなかった? 私の演技」
「大丈夫だと思うよ。しっかしあいつらも哀れだねぇ。あいつらのお株を奪う存在を自分たちで生み出すことになるとは」
「ふふふ、カルナ、だってわかりきってることじゃない」
見惚れる程の優しい笑みで、レイチェルは言った。
「私たちに比べて、人間はどこまでも下等生物なんだから」
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