アカシアの花へ

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アカシアの花‥黄色のカワイイ花。 キミはこの花が好きだと言ったね。 あれは、初めてキミ会った時の日のことだったよ。 俺の高校時代からの親友の彼女‥それがキミ。 隣で親友が照れて笑っていたっけ。 コイツ、こんなに可愛い彼女をいつの間に 俺は半分やきもち交じりで、親友の背中を叩いた。 彼女いない歴10年の俺だから うらやましい気持ちと 親友が こんないい人と出逢えたってことの嬉しさとが はんぶんこで、俺の胸の胸の中を飛び跳ねていた。 でもね『おめでとう』‥その言葉は100%の気持ちで言ったんだよ。 それから、親友んチに行くたびに キミはいつも可愛い笑顔を見せてくれるから 俺はいつもお土産に花を渡すようになった。 もちろん、ヘンな気持ちがあるワケじゃない。 ただ、キミに喜んでもらえたら嬉しいから。 キミの笑顔は俺にまぶしくて‥そして、何よりも美しかった。 その笑顔が見たくて、いつもアカシアを持ってくる俺を 親友は『アカシアくん』なんて呼んで、からかった。 ある日の夜‥親友は転寝で、俺はいつもの梅サワーを飲んでると ねえねえ、アカシアの花言葉って知ってる? キミはそう俺にチョット興奮気味で話しかけてきたっけ。 手には花言葉の本。 プラトニックな恋ってゆーんだよ‥って、教えてくれた。 うん、知ってる。 だって僕は花が大好きで、花屋になったんだよ。 なんでも、そのいわれは遠い国の人たちの昔の話からなんだって。 その花言葉のいわれはね 遠い国の小さな村に青年と娘がいて、 ある日青年はアカシアの咲いた枝を折ってきて 愛する娘に、黙って手渡したんだよ。 で、愛する娘は顔を赤らめて枝を受け取り‥ それで互いの愛の告白終わり。 なんでだろう‥なんでその娘(こ)は 愛する人から花をもらって、顔を赤らめて‥ 嬉しいはずの告白を受けて、そのまま終わっちゃったんだろう。 そんなのってないよ‥キミは俺に言ったね いや、もっと詳しく言うと、怒ったね。 あの時は困ったよ。 別に俺が青年と娘の仲を邪魔したワケじゃないし。 困ってる俺の顔を見て、キミは真っ赤な顔になって ゴメン‥だって。 おかしかったなぁ。 それから起きた親友にそのことを話して、2人してキミを笑うと キミはさっきよりも赤い顔をして、ふくれっ面になって怒った。 楽しい夜だった。 で、笑っちゃってゴメン。 俺は今日もアカシアの花を持ってキミに会いに来る。 あの楽しい夜から1年が経った‥キミはもう、親友の隣にいない。 誰もキミの隣にいない‥ キミがいるのは、病院のべッドの上。 キミは花が散る日が近いことを知っている。 親友は、花が散るのを見ていられないとキミのそばから離れていった。 人は『逃げた』と強く言うけど、俺はそう思わない。 誰だって、愛しい花が散るのを見ていられないだろう。 それを誰が責められるという。 部屋に入ると、ずいぶんと痩せたけど 美しい笑顔のままのキミが 俺に笑いかけてくれる。 俺はキミにアカシアの花を手渡す。 キミは嬉しそうに微笑んでくれる。 『ねえ、アカシアの花言葉を覚えているかい』 心の中で、俺はキミにそう告げた。 聞こえてなかったはずだけど‥なぜかキミは俺にまっすぐな視線をくれて 小さく頷いた。 俺はキミの前で、アカシアの花へ水をやるように‥ ポロポロと涙をこぼした。
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