プロローグ

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プロローグ

 運命なんていうのは、何も劇的な出会いに限らない。現に、僕と香晴さんは最初から運命だと感じたわけではないからね。  そう言って幸せそうに微笑むノアの父親、允の肩を抱きながら、新しく家族になり、第二の父親になった香晴は頷いた。  そうだな。だからノアももしかしたら、気付かないうちに出会っていた相手がそうだった、なんていうこともあるかもな。  そういう二人の台詞はいつまでも頭に残っていた。しかし、少なくともノアにとって、運命の出会いというのは父親たちとは違い、本当に一目見て分かってしまうものだった。  そして、父親たちのような、番を超えた運命というものに強い憧れを抱いていたノアにとって、いくら自分が番を持つことはないと分かっていても、その出会いは正に理想的だった。  βはβとの恋愛が一般的で、運命の番というのはΩとαの間にしか生まれない。そんな常識を覆すほど、確かにノアは彼に会った瞬間に強烈な運命を感じた。そう、俗に言う一目惚れだったのだ。
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