プロローグ

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俺は、相変わらず団長の立場にはいるが、実務はほとんど同級生が分担して勝手にやってくれている。 メールでの連絡が主だが、全てのやり取りでみんなが俺をccに入れてくれているので、状況は全て俺が把握しているという状態だ。 問題が起きたり、急に動けない奴が出たりした時には、俺が埋める。 健太が抜けたことを忘れさせるほど働き者の同級生たちのおかげで、俺は春季休暇中に開講されている、大学内での公務員講座に落ち着いて出席できている。 ほとんど名誉職だな。 …と思っていたら、入学式まであと一週間というタイミングで、講座終了時間に健太に待ち伏せされた。 去年、俺も同じようにして健太を捕まえたことがあったけど、やられてみると結構びっくりする。メールでもしてくればいいのに。 講義教室を出て10メートル先くらいの壁にもたれて待ってるから、彼女の出待ちみたい。法学部棟では健太はあまり知られてないから、女子学生がちらちら気にしてる。 おっ? 心の中ではかなり驚いているんだが、なんとなく普通の顔をして反応してみた。 「よ。久しぶり」 健太と二人になるのは、考えてみたら本当に久しぶりだ。 …っていうか、俺待ち…で合ってるよな? 俺が健太に近寄ると、視線が三倍に増えた。 鬱陶しいのでさっさと移動するに限るな。 「おう。ちょっと時間ある?」 今日の講座を全て終えたところだったので、頷いてそのまま歩いた。まさか俺以外の人間を待ち伏せるわけがないと思ったが、何の用だ?
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