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血で染まる大気圏
シラスナは空中を飛びながら強い邪気を感じた。それは皇帝軍の兵士の先頭にいる鉤爪のロボットから放たれていた。
「ホージロ、行くわよ」
「わかりました」
ホージロは刀を持った両腕を垂直に下ろし、飛行姿勢をとった。
「ラークス、後は頼んだわ」
シラスナはラークスに個別で無線を送った。
『わかりました。お気をつけて』
ラークスは無線を送ってきたシラスナを遠くから見つめた。彼女とホージロが単独行動をとることは出撃前に知らされていた。やれやれとラークスは首を振る。
「来たか!」
シャドゥーは高速でこちらに向かってくる二人の兵士の気配を感じた。鉤爪を構えたが、一瞬で両側を突破されてしまう。皇帝の部下たちにはその影すら見えていないようだった。シラスナとホージロは風のように皇帝軍を抜けると一瞬でダストシュートへと消えていった。
「ちっ、これ以上は通さんぞ!」
鉤爪を振り回し、シャドゥーは悔しそうな「ふり」をした。影の王の獲物には手を付けないでおいてやった。本当はホージロもシラスナもはっきりと捉えていたがあえて捕まえることはしなかったのだ。
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