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ホージロ
「こいつはわし等の仲間ではない。サンガオーの手先かもしれん」
爪のある怪物は流暢に話すと少女を睨みつけた。
「スケリド様よく見てください。この者は剣士です。人間です。サンガオーの手先なら剣を持てない魔物のはずです」
白い髪に青いパーカーの少女はスケリドと呼んだ怪物を諭すように言った。
「……確かにな」
そういうとスケリドはレッドを見て
「悪かったな」
と声をかけた。レッドはようやく両手から剣を離した。
「わしはスケリド。そいつはホージロだ」
「びっくりさせちゃってごめんなさい。怪我はない?」
ホージロと呼ばれた少女は剣を鞘に納めると、レッドのほうを向いた。彼よりも年下に見える。
「ああ、大丈夫だ。ありがとう」
「あなたどこからきたの? 傷だらけだけど」
「僕はレッド・ドラクジ。オズカシ村からダゴヤを目指してる」
「ダゴヤ? もしかして入隊希望者とか?」
「ああ」
「じゃあ一緒だね、私も戦争に行くの」
レッドは驚いた。こんな小さな体で戦争に行こうというのか。しかし先ほどの身のこなしを見るに相当な使い手に違いない。
「ホージロ。戦争に行く前にわしらには倒すべき敵がいるだろう」
スケリドが俯きながら言った。
「それはわかってはいますけど」
ホージロの表情が曇る。
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