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動き出した暗殺者
――ダゴヤ国際空港――
ここはダゴヤ。国際空港のある大きな街だ。飛び立つ飛行機はもちろん旅客機ではない。白く塗装された戦闘機である。完成したばかりの綺麗な空港のターミナルで二人の男が話していた。一人はこの空港の経営者で白髭を蓄えた男。そしてもう一人はこの国の総理大臣だった。彼はまだ若く聡明で国民から高く支持されていた。
「戦争は終わりませんねぇ」
と総理大臣は言った。
「人々は平和を求めています。私も同じです」
空港経営者は白髭に指を伸ばして発着する戦闘機たちを見つめた。
「わかりました。すぐにでも」
と総理大臣が言いかけた時、強い風が室内にも関わらず吹きわたった。そして
「すぐに終わらせてやるよ」
そう声が聞こえたかと思うと空港経営者の腹に細長い剣が突き刺さり、彼は鈍い悲鳴を上げた。総理は慌てる間すらなく、心臓を貫かれた。
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