動き出した暗殺者

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――共存政府宮――  共存政府の王宮では殿様が声を大にした。 「なに?! 総理大臣が殺されただとぉ!」  この王族は髪を伸ばすのがしきたりで、その髪を決闘で切った者に次の王になる資格が与えられる。しかしこの男はとても強く、長い間王の椅子に座り続けている。それでも決して威張ってなどいなかった。 「はい。とても残念です」 頭を抱える側近に殿様は尋ねる。 「誰に殺されたんだ?」 「わかりません。謎の暗殺者と伝えられています」 「では用心せんとな。護衛を増やすのだ」 「はい、かしこまりました」 「それともう一つ。暗殺者の正体を特定せねばならん。儂に良い考えがある」 ☆☆☆ ――ダゴヤ郊外の荒れ地――  殿様の助言の下、側近の男はダゴヤの街の外れにあるという賞金稼ぎが集まるクラブを訪ねた。賞金稼ぎたちは共存軍と皇帝軍の戦争とは無関係で、金のある者の味方になってくれる。怪しげなクラブの一室に招かれた側近は、そこでクラブのオーナーから一人の男を紹介された。 「総理を殺した暗殺者ですか。高くつきますよ」  ゲルラ・メロクと名乗ったその男は包帯に全身を包まれていた。 (こんな怪我人のような奴に暗殺者の特定なんてできるのか……)  側近は内心そう思ったが何も言わなかった。 「共存軍の殿様の勅命だ。お前は腕が立つと聞く」 「王様にまで私の名が知れ渡っているとは驚きです。分かりました、引き受けましょう」
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