18人が本棚に入れています
本棚に追加
側近の予想に反してたった一日で暗殺者を突き止めてしまったゲルラはその正体に驚いていた。暗い夜空の下、剣を研ぎ話し合っていたのは、賞金稼ぎの間では有名なアルトと影の王というロボットだったのである。ゲルラは彼らが眠りにつくのを待っていた。お前らが瞼を閉じた時、それが最後だ。
「殺しすぎたな」
「ああ」
暗闇で影の王が言い、アルトが相槌を打つ。
「あーあ。また増えちまう」
「嫌だねえ」
ゲルラは寒気がした。奴らは私に気づいている。こうなったら正面から決闘を申し込むまでだ。ゲルラは腰に手を当てると、二本の刀を抜き、両手に構えて二人の前に現れた。
「二刀流ってずるいよね」
アルトは暗闇で白い剣を抜くと、ゲルラの前で不気味に笑った。
「二対一のほうがずるいですよ」
包帯まみれの賞金稼ぎゲルラは、回転してアルトに斬りかかる。片腕の刀がアルトの白い剣とぶつかり夜空に火花が散った。ゲルラはもう一方の刀でアルトにとどめを刺そうと振りかざした。
「もらいました!」
「少しは骨がある」
影の王は細い剣を抜き、ゲルラの一撃からアルトを守る。そのまま腕の力だけでゲルラを吹き飛ばすと、不規則な剣術で攻撃をはじめた。そのあまりの強さにゲルラはついていくのがやっとだ。
「うっ、なんという力だ……」
影の王はゲルラの右の刀を叩き落すと、包帯まみれの右足を斬りつけた。なんとか持ちこたえたゲルラは少し間をとって、両腕で刀を構える。
「珍しくしぶとい奴だ」
ゲルラを睨みつける影の王の目は殺気そのものだ。ゲルラは右足の痛みの中で察した。このままでは自分が殺される。
「私は賞金稼ぎです」
「知っている」
「それにあなたと同じ邪気を使う邪者です。あなたも賞金稼ぎならわかるでしょう。戦争が私たちから生活を奪っていきました。生きるためにはこうするしかありませんでした。私たちは戦うべきではないのです。本当の敵は他にいます」
「知っている」
影の王は冷淡に言い放った。
「でも俺たちは弱い奴と組むつもりはない」
一瞬の出来事だった。影の王はゲルラの前に現れると細長い剣で彼の体をバラバラにした。肉塊となったゲルラの遺体を共存軍の殿様や側近たちが見つけることはもはや不可能だった。
最初のコメントを投稿しよう!