ジルド山の麓で

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 剣と3日分の食料を持って村を出たレッド。まずは最初で最大の難関、ジルド山を越えなければならない。険しい山肌と灼熱の溶岩が彼を待っている。麓の山道を抜けると、シールドに包まれたジルド山が見えた。レッドはシールドの中に足を踏み入れる。 「なんて暑さだ……」  シールドの内部はレッドの想像をはるかに超えていた。さらに火の粉と溶岩が上空から降り注ぐ。汗が岩に落ち、ジューと焼けるような音を立てた。恐怖と疲れがレッドの足を止める。 「これくらい、軍隊に比べれば……」  気合で足を動かすと出口が見えてきた。ふらついた足を一歩一歩進める。やっとのことでシールドを抜けると、レッドは静かな森の中に入った。ここから「魔法使いの国」に入る。ダゴヤまではまだほど遠い。  不気味な樹海が広がる「魔法使いの国」はオズカシ村の隣にある自治エリアだ。政府や軍でさえ立ち入りを制限されている。その内部は活気がなく、古びた空き家が立ち並ぶ。レッドは昔からここには来てはいけないと教えられていた。オズカシ村の人々が街に行くためにはジルド山とここを抜けなければならない。そのため村人の多くが村を出ないまま一生を終える。  レッドは荒れ果てた集落に出た。疲れた体を休めるためにベンチを探していると、人間ほどの大きさの横たわっている骨を見つけた。一瞬、人かと思ったが違った。頭蓋骨にはまるで恐竜のような大きな牙がある。
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