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冬―それは人肌恋しい季節。
「おはよー!」
「「おはよ!」」
「おはよう。」
高校生だってこの時期はさすがに寒い。いつまでも風の子、とはいかないものだ。
「柊くん、そのマフラー、似合ってるねっ!」
「ありがとう。はんなのも可愛いよ!」
「るい、マフラーいいね!」
「サンキュー!」
ところどころでマフラーの誉めあいが始まった。ここでいかにオシャレなものを持ってくるか。これで友人関係などのクラスカースト、『冬のおしゃれ編』が決まるといっても過言ではない。が、その時、そんな平和な群衆の中から、少女の悲鳴が上がった。
「ギャアァァァァァァ!!!」
ざわ…ざわ…
生徒たちの視線は二人の少女に引き付けられた。一人は口許を押さえ、尻餅をつき、わなわなと震えている。その震える指で指した方向には、もう一人の少女が不思議そうに首をかしげて立っていた。そして、人々はそのこの『マフラー』を見て固まった。
「ちょ、そ、それ、マフラーじゃなくて」
「「蛇じゃないか!!!」」
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