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樹の下の寝床で、横たわる彼に寄り添う。
空には虹色のカーテンが、なびいている。蒼い空に。
真新しい白いワンピースに着替えた。肌触りがよく、春の庭で過ごすには丁度良かった。
ギルが、首筋に顔を近づけた。
「くすぐったい」
少し照れながら言う番に、綻んだような顔の狼。
2人のもとに、狼たちがやってきた。
ギルの毛並みが銀色になったのを境に、他の狼たちは白い毛並みへと変わっていた。
「ワレらが王。王の番。ともにあらんコトを」
長老がいうと、すべての狼たちが頭を垂れた。
「ワレら、ともに!!」
ギルが宣言する。
ギルをはじめ、狼すべてが空に向け吠える。
春の庭の空全体に、虹色のカーテンが広がる。
ドクドクと、全身に血がめぐる。
心があたたかく、穏やかに感じる。
ー私の居場所ー
アミは、わかってしまった。森の近くへと住んでいたこと。
祖父母は、村から森に行けるようにとしてくれたこと。
春の庭へと……。
虹色のカーテンがたなびく空の下、王と王の番。
狼たちや、動物たちを導き庭を守る存在となった。
『白い狼は、神に仕えている。逆らったらイカン。銀は、まさに神だ』
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