虹色のカーテンの下ー神の狼ー

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雪が広がる森を歩く。 肩がけバッグに入っていた最低限の食料は、1週間で尽きてしまった。それからは、狼が狩ってきた野うさぎを貰い受けた。 バッグから出したナイフで(さば)く。 紅い鮮血が、白い雪を鮮やかに染め上げた。小さな枝に、火打ち石で火をおこして捌いた肉を焼いて食べた。 狼は、野うさぎに被りついて(しょく)す。 じわじわと漏れしたたる紅い血が、銀色混じりの白い狼の口を染めていく。 ザラリとした舌が、私の顔を舐めた。 「……(うま)そうだ」 ードクンー 妙な胸の高鳴り。はやる鼓動。 食事の心地はなくなっていた。身体から何か違うモノを求めていた。 村から出て、2週間。 雪に覆われた岩山に着いた。 狼の住処(すみか)(おぼ)しき洞窟があった。 中へと案内され、着いた夜は(わら)を掻き集めて作られた寝床(ねどこ)で眠った。
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