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口づけを初めてした。それも、相手は狼。神か? 神の仕いか? わからぬ狼。
ただ、ギルのことは受け入れてしまう。
「番って、私は・・・・・・贄だから・・・・・・」
番だと言われて、戸惑う瞳。意味が分からなくないでもない。つまりは、狼との間に子をなすという。その行為をする、という事。
考えを見透かされたかのように、ギルが口づけをあちこちにする。
「アミ・・・・・・お前の考えはあっている」
「!?・・・・・・っ、その・・・・・・やっぱり」
「ソウダ。オレを受け入れてもらう」
その一言で、喉の奥は乾ききる。
「そのために、イロイロとあるが・・・・・・まぁダイジョウブ」
「だ、大丈夫では・・・・・・ないと」
声がだんだんと小さくなり、身体も縮こまる。
抗えない力。ただたんに、体躯の違いや力の違いではない。言葉で、ひと言で言い表せない。
森の近くに住み続けたからこそ、わかる感覚。ソレに抗ったりはせずに、流れに任せて過ごす。
気が付くと、ギルに着ていた下着すべてを取り払われていた。
寒さを感じるか否か、彼の温かい身体に抱きしめられるように覆いかぶさられている。
寝床の藁と狼の体温。不思議と眠気に誘われる。
「もう、寝たほうがいい・・・・・・」
彼が何か言葉を続けていたが、聴き取れないうちに瞳はまどろみの中へと落ちていった。
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