5人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
「あーもー!!!!うっさいんじゃー!ボケー!!!!!」
小人も 王子も 動物も 固まった。
「だいたい生ぬるいんじゃ!この話!あーこれ邪魔!!」
敷き詰められたスイレンっぽい花を放り出す。
「まず小人!!お前ら他人を信用し過ぎ!
家帰ってきたら、知らんやつが入ってるんよ!?これ家宅侵入罪や完全なる!!鍵ぐらいかけられんのか!!
何?美人なら何でもOK?下心丸見えやん!!お前らの部屋汚すぎやし料理もできへんし・・・んもぉー!!!7人おんねんから家事ぐらい分担せい!生きていけんぞ この先!!!!!
しかもさっきまで死んどったやつが生き返ったんよ?!普通『わー!ゾンビだー!』ってなるんやない?!どうなってんのこの世界は!!」
同じ顔が7つ、 目をハトのようにして私を見上げる。
見分けつかんから 余計めんどくさいわ・・・
「それからそこの動物!!私を見つけてくれたことは感謝しとる。でもな!この状況においてキャンキャン鳴いとるだけで何もせーへんのかい!受け身で生きるのやめろや!」
小ウサギの耳が、パタンと折れた。
「そんで一番はお前や!
どこの王子か知らんけど、そっちと会ったんは初めてなんよ!?なのに?会った直後にキスして、『私の追い求めていた人です』?!ふざけるのもいい加減にし!!」
王子はまさかの涙目になっている。
え、ここで泣くん?
「あーーー、とにかくウチ行くわ。」
「え、どこへ…?」
年長者の小人が尋ねる。
「んなもん決まっとるわ!!ウチ殺そうとしたアイツをとっ捕まえるわ!!にーちゃん、これ借りるわ!」
私は王子の腰についていた剣を引き抜く。
「ま、待ってください!!」
白馬にまたがろうとした私を、イケメンが引き止めた。
「何?まだ言いたいわけ?」
「僕は母上から、女の人は弱いから、あなたが守るようにと、教え込まれてきました。僕の前に現れる女性は、皆とてもか弱くて、控えめでした。僕はそんな環境が嫌で嫌で仕方ありませんでした。彼女たちがバレバレの演技をするように、僕も王子として演技をしないといけなかったから。
あなたのような、強くてたくましい女性は初めてです!
どうか僕も連れて行ってください!
僕を男にして下さい!」
私は、イケメンの目をじっと見つめる。
未熟さの中にある、決心。
この子はもっと もっと伸びるはず。
私の目に 狂いはない。
最初のコメントを投稿しよう!