1章 夏牡蠣のレモン添え

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 ぎりぎり脱出艇で爆発前に逃げた毛利まるるとコッド氏が、麻里亜に捕らえられて小惑星に連れてこられている。 ロープでぐるぐる巻きにして逃げられないようにしている辺りは、どこかの作品の影響を受けている。 「ちょっとゆるめてもらえない……?」 「ダーメ、逃げるから」  試しに惑星防衛艦隊側に賠償金交渉をするが失敗、処分してもらって構わないとまで言われる。 「はわぁ、無価値の提督だったなんて」 能力と扱いは別。他社から有能に見える人材でも、その会社では無評価なんてことはよくある。 さっさと転職すればいいのに。出て行く際のケアは必要だけど。 「引き取られないんじゃ……処分だよね」 毛利まるるは暗い顔をしている。 でも海老原遊撃隊は捕虜を大事にする条約に加盟しているし、解放しないだけで処刑なんてことはない。 「えっ? カリブの海賊は船長を海にドボンさせて殺すって聞いたけど」 「大航海時代じゃないし……」 古すぎる情報に、舞宇と麻里亜は苦笑いをした。 「無価値なら放し飼いでもいいよね」 鶏じゃあるまいしと毛利まるるを見る。 晴香のようなレンジャー経験はなさそうだ。脱走するような人には思えない。
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