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偵察艦は小惑星の周囲を回りながら撮影を続けている。
土砂でカモフラージュしている場所の上を飛べば、解析されて発見されてしまう。
「麻里亜艦、偵察艦を2時方向に確認したよ」
軍事では、一般社会では法律に裁かれるような暴力が許される。
相手に犠牲者が出ようがそれが正義なのだ。
「いい位置ね。いつもの攻撃をお願い」
麻里亜の3番艦はミサイルを大量に積んだタイプ。
一度に大量に発射することによって、撃ち落しはもちろん回避すら不可能にする。
可愛らしい童顔に似つかわしくない邪悪な笑み。フード付きのトップスを靡かせて宣告する。
「血煙の天使、麻里亜様の前に立つことすら罪なのさ」
オーバーロード。
銀河の星々の数に迫ろうかというミサイルが、目標に襲いかかる。
偵察艦のあった場所には、雲状に飛び散った金属片が漂っていた。
裾を払いながら、お粗末様とお辞儀をする。
「生存者いたら救助してあげるよ」
通信で冷静な舞宇の声が聞こえてくる。
「大丈夫、いないわ。データ解析……無人偵察艦です」
無人艦相手に気張ってしまった麻里亜は、恥ずかしそうに引き上げてきた。
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