1章 夏牡蠣のレモン添え

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 惑星防衛艦隊の任務は対海老原遊撃隊からの防衛だけではない。 アンドロメダ銀河側の海賊団が襲いかかることもある。 「4時方向、5時方向に無数の点、黒犬一味です」 「2番艦、3番艦でなくて良かったというべきか」 リーベリー提督が電磁レールカノン砲の準備を指示する。 長距離から正確に賊を片付けていくのだ。 「不利と見た海賊団は撤退していきます」 点は半減、提督は相性について考える。 接近装備しかない2番艦が戦闘した場合は、苦戦必至だった。  トルコ服姿の副官のアブラハム氏が、提督に尋ねる。 「あれ(・・)はお使いにならないので?」 1番艦の必殺技の存在を示唆する。 「黒犬一味は商船なら脅威でも、我々軍艦にとっては無害だ。必要となったら使うさ」 提督は脱出した海賊の捕獲を、副官に命じていた。  海老原遊撃隊の仮拠点では、麻里亜が提督4番手の流歌に質問をしている。 ローテーションで出てくることはあるが、この艦隊は3艦なので、彼女は2番艦の砲台にいることが多い。 「アンドロメダ銀河って天ノ川銀河に衝突するんでしょ? ガンマ線バーストより危険じゃないの?」 麻里亜には移動先のこの銀河こそ、破壊対象に見えて仕方がない。 「45億年後は、太陽が持たなくて放棄(ほうき)して移住した後になるから、心配ないです」  一体何歳まで生きる気……もしくは永久にコールドスリープする気なのかと、麻里亜に視線を投げかけている。 「2人とも、夕食が出来ましたよ」 「はーい、またレトルト足す野菜工場だよね」 「にく」に飛びつく麻里亜とは反対に、野菜ファーストで食べる流歌が印象的だった。
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