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電脳戦会場は開催前から盛り上がっている。
「さあ、やってまいりました、電脳戦2戦目。レナ対悠結!」
詳しい紹介は省略され、モニターにはレナのシャーマン戦車と悠結の九七式戦車チハが映っている。
シャーマンは横幅2.62m、九七式は横幅2.33mで森林を走るのに問題ない。
フローレンスは解説のメルキドーラに聞く。
「倭人の欠点でもあるんですが」
自国の戦車を使いたがるが、九七式は弱い部類の戦車だ。
装甲は薄く、ディーゼルエンジンは弱出力。57mm砲は機関銃以下。
メルキドーラは微笑みながら答える。
「見てみてください。粒子砲が飛び交ってますよ」
レナも悠結も強化されている。その力を電脳戦の筐体に注ぎ込む。
悠結の身体に描かれた増幅回路が服ごしに発光する。
呪詛・雛流し――――
職人が1つ1つ尖らせた砲弾が、川に流される浮遊機雷のように次々レナのシャーマン戦車に迫る。
解説の麻里亜は安全だという顔をする。
「うちのレナは全部黄金化させて落としますよ」
ところがレナの機構が反応しない。
「ふふ……神風が吹くんです」
会場のモニターには穴だらけになるシャーマン戦車と、赤く染まったレナが映っている。
この頃の戦車は装甲が薄い。弾は貫通するし、破片は中で反射して乗員を襲う。
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