28章 宇宙マヨ焼きそば

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 電脳戦会場は開催前から盛り上がっている。 「さあ、やってまいりました、電脳戦2戦目。レナ対悠結(ゆゆ)!」 詳しい紹介は省略され、モニターにはレナのシャーマン戦車と悠結(ゆゆ)の九七式戦車チハが映っている。 シャーマンは横幅2.62m、九七式は横幅2.33mで森林を走るのに問題ない。 1a86b81a-5041-4ba6-97de-617ea458a068 フローレンスは解説のメルキドーラに聞く。 「倭人の欠点でもあるんですが」 自国の戦車を使いたがるが、九七式は弱い部類の戦車だ。 装甲は薄く、ディーゼルエンジンは弱出力。57mm砲は機関銃以下。 メルキドーラは微笑みながら答える。 「見てみてください。粒子砲が飛び交ってますよ」 レナも悠結(ゆゆ)も強化されている。その力を電脳戦の筐体に注ぎ込む。 悠結(ゆゆ)の身体に描かれた増幅回路(サーキット)が服ごしに発光する。 呪詛・雛流し―――― 職人が1つ1つ尖らせた砲弾が、川に流される浮遊機雷(ひな)のように次々レナのシャーマン戦車に迫る。 解説の麻里亜は安全だという顔をする。 「うちのレナは全部黄金化させて落としますよ」 ところがレナの機構(システム)が反応しない。 「ふふ……神風が吹くんです」 会場のモニターには穴だらけになるシャーマン戦車と、赤く染まったレナが映っている。 この頃の戦車は装甲が薄い。弾は貫通するし、破片は中で反射して乗員を襲う。
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