28章 宇宙マヨ焼きそば

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「仄香さん……」  どうやら篠絵に内緒で原始イプシロイアの応援に来ているらしい。 桧原家は煤香と仄香がいて、アルビノが煤香で黒髪が仄香だ。 煤香はラケアニアの提督で、仄香は篠絵派の提督とまぎらわしい。 「鶯弥は分かっとーか?」 原始イプシロイアは篠絵派だ。遊撃隊の電脳戦は宇宙の戦いの代理戦争だ。 平和に行われているように見えるが、負ければ優位を失う。 「でも、戦っている子たちは楽しんでます」 そろそろ電脳戦が始まる。  司会のフローレンスが選手の紹介をする。 モニターに映るルリアーユは歌劇団の男役にいそうな娘だ。 「あと2戦。遊撃隊対原始イプシロイアの戦いも激戦となってまいりました!」 解説のメルキドーラが戦車名の書いてある紙を司会に渡す。 「ルリアーユは横幅2.3mのBT-7。神流は横幅2.7mの九五式重戦車ロ号です!」 8cb65af3-457f-4843-bdfb-2f2993675251 先手を打ってきたのはルリアーユ。 「毒蜘蛛……そう渾名されています」 掃敵微小機械(ナノマシン)―――― 神流の生体の中に毒蜘蛛型の自律機械が転送されてくる。 ちょうど喉辺りにその毒の牙を突き立てる。 「うっ……」 「どうやら噛まれたようね」 神流は平然として言い返す。 「これハ号ちゃんね。常人なら即死」 生体管理局で量産された毒蜘蛛で、神流は被験者参加していて毒に抵抗を持っていた。 「被験者……9割死んだのよ? 貴女……」 9割死ぬような実験をする管理局は狂っている。 「そう。適合者、薄木神流(かんな)
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