28章 宇宙マヨ焼きそば

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 悠結(ゆゆ)は臨時リーダーとして、遊撃隊と怪我人の条約を結ぶ。 「ミカの治療が終わるまで、麻里亜さんたちを攻撃しないと誓います」 生体管理局の篠絵派は遊撃隊の新造艦を攻撃することはない。篠絵や仄香とは勝手に戦っていい。 「条約って無意味かもね」 しばらくは航空電脳戦をする。 車両電脳戦の怪我人も回復待ちだし、篠絵派と戦うにはまだ戦力不足でスカウトしないといけない。  時埜(ときの)悠結(ゆゆ)を誘って映画館に来ている。 原始イプシロイアの敗戦は時埜が決定付けた。 入場券タダでも悠結(ゆゆ)の視線が冷たい。 「やっぱり前回は手を抜いていたのね。そんなに篠絵派と遊撃隊の均衡を図りたい?」 「時空移動を勝手にしている2勢力……しかも荒らし放題。時空管理局として特に強い方は成敗しないと示しがつきません」 1戦電脳戦をしたのは遊撃隊のためではなかった。時埜の意思だ。 「でも、管理局としては」 「ええ」  映画は終わり、エンディングロールを2人で見つめる。 ハッピーエンドなのに時埜が何故か泣いていて、悠結は周囲の視線が痛い。 「泣き女(バンシー)じゃないんだから」 悠結はハンカチを差し出す。 「そのうちわたしたちが戦うことになるのかな? 時埜の手にかかるのかな?」 他人事のように(つぶや)いてみせた。
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