29章 激甘のパンプディング

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29章 激甘のパンプディング

 Λ<ラムダ>に降り立った遊撃隊のメンバーは、新しい基地と電脳戦の会場作りをしている。 「病院は他にもあるよね?」 ミカとか数名動かせないので、病院はアドニスとラムダの2箇所になる。 運んでこない分、小さい建物で良さそう。 「菜々花は作業は免除なんだよね」 撤収作業の鶯弥のミスで痛んだから、きつい作業は免除。観光をしていてもらう。 「ついでに次の対戦チームがもう来ているから、親睦もしていてね」 『東の国から』というチームで、初江奏(はつえそう)という娘が来ている。 「航空電脳戦で倭人チームは嫌なんだよね」 サンクレアが感想を言う。特攻されて2機とも落ちるイメージがあるらしい。 筐体は危険でない程度に空中に吊り上げられているが、本当に安全かは保証できない。  最近のΛ<ラムダ>は惑星内の観光、とくに国内観光が盛んだ。 今まで農園なんてものは農作物だけ作っていたが、最近は違って農園カフェなんて施設が建たっている。 「プレハブと野外の椅子のみだけど、作ってすぐだから鮮度が違う!」 小天狗菜々花の推しで奏は農園のおじさん……年はおじいさんに近い人……に話を聞きながらフルーツドリンクを飲む。 葡萄はシャインマスカットのような丸ごと食べれる品種。 流行があって、次の美味しい品種が開発されると一気に売れなくなる。 「たいへんなんですねぇ」 売れなくなった品種は加工する。捌ければ次は流行品種を作れる。 ここの場所は旅行業者と連携して旅行の休憩所にしてもらったり、お土産選び場所にしてもらったりしているそうだ。  食事のほうでは、パンを卵とミルクと砂糖に浸して焼いた料理、パンプディングを注文する。 「農園カフェ(ここ)のパンプディングに載ってる葡萄(トッピング)は、種があるみたいよ」 奏はかじってしまって、ガリっと大きな音を響かせていた。
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