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鶯弥は前回に引き続いて電脳戦の係員を担当する。
晴香は鶯弥に前回の感想を聞いている。
「筐体は1戦1戦壊してもらうように作ってあるんです」
自動車の構造に近い。派手に壊れるけれど、外で衝撃を全部受け止めてあげる。
中にいる人は飛んできた破片で肌を切るくらいだ。
CADで過去の戦車や航空機を再現するんだけど、移動力や火力や装甲を反映させるだけで、筐体内はみんな同じつくりになっている。会話は敵についてに。
「対戦相手の奏さんまだ登録終わってないんですよね」
「奏は使えそうな武器を見てくるって」
事故の確率は少ないと言っても、命がかかっているだけに最後まで迷う。
「Λ<ラムダ>のジャンク街はアドニス並に治安悪いからなぁ」
死んだら不戦勝になるだけなので、酷いようだが遊撃隊にとってはどっちでもいい。
奏は雑居ビルの1つを選んで入っていく。
入っていくのは怪しげな薬中毒の男や、落ちぶれた軍人の荒くれ者が多い。
可愛いので浮いてしまっているが、中の取引所の店主は分かっている。
「東の国からの先鋒……奏様ですね。噂は聞いております」
航空電脳戦は弱小参入チームが多い。
たいがいは1戦して死傷者を出して撤退するのだが、その原因を作るのが彼女だ。
「回転銃・零ですか」
ロシアンルーレットで6発の弾倉に1発の実弾が入っているとする。
彼女はその1発を不発にして敗北を回避する。原理は不明だ。
「危ない奴じゃないですか!」
強盗しようとでもしたのか、取引所近くの男が怯む。
撃ち合いになったら奏の弾が一方的に当る。
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