君のためならばかでいい

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目が覚めると世界は真っ白で、一瞬死んだのかなあと思ってぼうっとした。 「そうか、これが死後の世界か」 「ばか者」 ごちん、と頭を殴られ、痛みで覚醒する。おお、なんだ、寝ぼけ眼でぼやけて見えただけで、あの白い色は雅也の顔だったのか。なるほど、確かに死んだ覚えもないし、そりゃそうか。 「…っていうか、痛い、痛いよ雅也。こんなに痛むほど殴らなくてもいいじゃない…あれ」 ずきずきと痛む頭を押さえ、起き上がろうとしたけど体が起き上がらなかった。ん?なんだ?頭が痛いだけじゃなくて、体が重い。そしてやけにだるい。…というよりそれ以前に、ここはどこ?やけに白い天井、シーツ、ベッド…ああ、ここは、保健室? じゃあなんで私はここにいて、雅也もここにいるんだろう。そして雅也が隣に座っているのに、なんで私は寝ているの? 頭がいまいち働かない。そんな私を見て、はー、と雅也がため息を吐く。 「アホ。お前の頭が痛いのは、オレが殴った所為じゃない。お前がカゼをひいてるからだ」 そんなこともわかんねえなんてお前は本当にアホだな、と言いながら、雅也はおしぼりをじゅっとしぼった。なんだよう。ため息なんかつかなくてもいいじゃん。 でも、寝ている人間の横でおしぼりをしぼるなんていうのは、いかにも病人を看病しているっぽい姿なのは確かだ。ということは、私はいかにも病人っぽいってことになるのかな。なるほど、それは認めよう。
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