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エピローグ
帝国大学医学部を卒業した私は父の後を継いで医師になった。そして父の死から十年後、私はもう一つの夢を叶えようとしていた。
「間もなくカリフ国際空港へ着陸します。シートベルトをお願いします」
機長のアナウンスが流れる。窓の外には十年前に見た荒凉とした大地が広がっている。その先の都市が見えてきた。
「戻って来たのね・・」
私は万感の想いでその風景を見つめていた。
機体が着陸し駐機場で停止すると、私は頭に『ヒジャブ』を巻いて立ち上がった。既にドアが開けられタラップが取り付けられている。
タラップの下には多くの人々が私を待ち受けていた。
その中に二人のとても懐かしい人物が見える。インファニ元大統領と十年前に父の手術を担当してくれたドクターマヒドラだ。
元大統領が満面の笑みで私を迎えてくれる。
「ドクターリサ、ようこそアサブラへ。お待ちしておりました」
そしてドクターマヒドラが続く。
「リサ、君の日本での活躍を聞いているよ。君の様な素晴らしい才能を持った医師に来て貰えるなんてとても嬉しい。そして君がドクターの遺志を継いでくれることをドクターもとても喜んでいると思う。アサブラに来てくれて本当にありがとう」
私はその二人の言葉に大きく頷いた。
「父と同じ活躍は最初からは難しいですが、父の偉業を引き継いでこの国に貢献出来る様に頑張ります」
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