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翌年、中学に進学した私は、沢山の女の子の友達が出来た。
「えっ? 理紗って、お父さんと仲良いの?」
私の父が毎年誕生日にプレゼントを抱えて帰国すると誇らしげな私の話を聞いて、そう楓が聞いてきた。
「うん、そうだよ。楓の家は違うの?」
楓は大きく首を振った。
「もちろんだよ。あんなオジサン・・気持ち悪いじゃない・・」
私は楓の言葉に衝撃を受けた。
「えっ?」
他の女の子に聞くと、殆どの子がもうお父さんとは話をしていなかった。そして彼女達は「だって・・気持ち悪いし・・」と言っていた。
私はその言葉に最初は違和感を覚えていたが、徐々に周りの声に感化されていった。
そして十三歳の誕生日に父が帰宅した時には父に大きな嫌悪感を抱く様になっていて、父が居た三日間、私は全く父と言葉を交わさなかった。そんな私を母は窘めたが私は悪びれることもなく父を無視し続けた。
それでも父は私に優しい笑顔を見せてくれていたが、その目の奥底に寂しげな色が浮かんでいることに私は気付いていた。でも私は父と言葉を交わすこと無く過ごした。
中学の三年間、そうやって誕生日を過ごした私だったが、高校一年生の春にその考えを根本的に見直すことになる。
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