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私はそのビデオの映像を見続けていた。
どこに行っても父はアサブラの人々に慕われて愛されていた。そして全員が感謝と尊敬を父に向けていた。
私は父の真の姿を知って本当に驚くと共に感動していた。私の父がこんなに凄い人だったなんて・・。
特集番組のビデオが終わると母が私に笑顔で話し掛けた。
「裕人さんからは理紗には黙っておくように言われていたんだけど・・貴女、裕人さんに冷たく当たってるでしょ。思春期の女の子には仕方ないことかも知れないけど、私はとても歯痒く思ってた。だって理紗は裕人さんの本当の凄さを知らないから・・」
私はその母の言葉を聞いてとても恥ずかしくなっていた。
「十二歳の誕生日に裕人さん帰ってこなかったじゃない。あれは裕人さんの病院にロケット砲が着弾して多くの死傷者が出たからよ。彼は本当に理紗のことを大事にしてたけど、あの時は現地の人を優先させた・・」
私は自分の瞳に涙が浮かぶのを感じていた。こんな素晴らしい父に嫌悪感を抱いて無視してしまうなんて・・。本当に恥ずかしい・・。
「ママ・・私、全然知らなかった・・ゴメンなさい」
母が大きく首を振る。
「謝るのは裕人さんへでしょう? 裕人さんは理紗をギュウってハグしたいと思っていたけど、最後にハグしたのは十一歳の時だって悲しそうにしてたわよ」
私は涙を拭って大きく頷いた。
「うん、今度、パパが帰って来たら、ゴメンねって言う。そして・・」
「そして?」
「・・うん・・。大好きって言ってギュウってハグするね」
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