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父との再開
私達の背後から声が掛かる。
「さあ病院へ。先程、ドクターの手術は終わりましたが、未だ予断を許さない状況だそうです」
インファニ大統領の声を受けて、私達はその母娘に別れを告げて、大統領の車に乗り込んだ。
車は空港を出ると警備用車両に先導され物凄いスピードで街中を走って行く。
そして空港から十五分で、カリフ大学病院の車寄せに到着した。
車を降りた私達が自動ドアを抜けて病院の中に入ると、そこは広いロビーになっていて壁に大きな銅板のプレートが見える。
銅板には父の顔が彫り込まれ、父への感謝を示す言葉も書かれている。
『この病院を再建し多くの医師を育成したドクター田所に最大級の尊敬と感謝を送る』
私は感動しながらその内容を母に訳して伝えた。母も大きく頷いている。
エレベーターに乗り三階に上がると直ぐにICU(集中治療室)の表示が見える。その中には沢山のベッドが並んでいたが、父のベッドは多くの人々に囲まれていて直ぐに分かった。その人々がICUの入口の私達三人を見つめていた。
私達がベッドに近付くと人垣が割れて父の姿が見えた。
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