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笛吹きはクラリネットを小脇にはさみ、斜めがけした革製のカバンから、たくさんのチラシを抜き取ると、最初に近づいて首を横にふった女の子に手渡す。女の子はチラシを子供たちに配って回る。
「さあ!ラマダーンも終わったよ!遊園地が来るよ!町のはずれに移動遊園地が来るよ!」
子供たちは目を輝かせ、チラシを奪い合う。字が読めなくても、チラシにはわくわくするような絵が描かれている。ちょっとした山のようなヘルタースケルター、ジャングルジム、丸い三角帽子のようなブランコ、トランポリン、ソーダ水に綿菓子。そしてチラシの真ん中には、たくさんの木馬が輪になって回っている絵が描かれている。語尾にスタンがつく国で生まれ育った子供たちには、見たこともない遊具だった。
「これは何?どうやって遊ぶものなの?」
子供たちは、口々に笛吹きに尋ねた。
「知らないのか?これは、カルーセルさ!」
「木馬が動くの?」
「ああ、動くさ、ぐるぐるぐるぐる輪になって回るよ。驚くなよ、木馬は上がったり下がったりするんだよ!」
「わぁ!乗ってみたい!」
「誰でも乗れるさ!3日後に、町はずれの十字路に来てごらん。おっと、ちょっとでいいからお小遣いを持って来るんだよ」
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