一章 見た目と中身は必ずしも一致しないという話

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少年は【胡蝶蘭】という喫茶店の前の大きな交差点の所で黒マントの学生の群れを外れると、家の方向とは反対の道に進み、路面電車の通る道や、大きな橋の上を渡り、騒がしい街中から段々と離れていった。 先刻まで朱色だった空は、今や紫を見せていた。 喧騒が段々と小さくなるに連れ、少年の顔に僅かに笑みが溢れるようになってゆく。 少年が目的の場所につく頃には、空はすっかり赤みを消して、藍色に変わりつつあって、輝く宝石が1つ2つと瞬き始めていた。
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