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村田と佐々木の協力を得てから半年。
その間には、次藤が九宮里村とテレビ局の橋渡しとして、真似猿岩まで出向いて局と電話連絡を取った。
そして昨日、九宮里村にテレビクルーが入った。
テレビへの協力反対派の村人数人が監視役として次藤と共に真似猿岩まで迎えに出た。
局からはマイクロバス2台と他見送りの車1台が真似猿岩まで来た。
次藤は、見送りの車に乗るスタッフと念入りに話し、村で仕入れた情報を整理し保存したディスクを渡す。
撮影に必要な機材を乗せたバスと、出演者を乗せたバスに黄猿石を持った村民と次藤が乗り、九宮里村へと走る。
見送りの車は、真似猿岩から引き返していった。
撮影は、タレント達が村を散策しながら紹介。
そして、この日に開催される鬼くくり に参加するという流れだ。
村からロケの協力を得られた当初は、カメラクルーを入れて村を回り、スタッフが鬼くくりに参加するロケを想定していた。
しかし、次藤の報告から、局はロケへタレントを出演させることを決定。
得体の知れない村ということで、過去に問題を起こし芸能界から消えかけているタレントを抜擢したのだ。
出演者を知った次藤は驚いた。
そこには、芸人コンビ アンダーメディア 田畑 大輔 が含まれていたからだ。
田畑は、独特のユーモアでデビュー1年目からテレビで冠番組を持った高学歴芸人だ。
芸能界で確固たる地位をつかんでからは、ディベート番組で学者を論破したり、頭脳ゲーム番組で何度も王者になるという知性派だ。
テレビや芸能人のあり方について痛烈な批判をしたことで、テレビから消えかけていたが、その能力は次藤も認めている人物だ。
次藤と田畑は、以前から面識があり、いつか一緒に知性的であり面白い番組を作ろうと約束したことがあった。
今回、その約束が果たされる時となったのである。
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