1#目覚めたら、白い世界

2/2
前へ
/8ページ
次へ
 僕が目覚めたら、白い世界が拡がっていた。  どこまでも白い。  どこまでも白い。  そして、どこまでも白い。  全部真っ白!!  何なんだよ・・・ここは?  僕は鼻を白い世界に突き出して、くんかくんかと辺りの匂いを嗅いだ。  くんか、くんか、くんか、くんか、くんか。  何も匂いはしないなあ。  ただ、冷気が鼻の孔の中に入って・・・  はっくしょん!!  寒っ!!  何なんだよここは?  僕は、恐る恐る巣穴から抜け出してこの全く白しかない、あたかも白が支配するこの『白い世界』に立った。  きゅっ!きゅっ!きゅっ!きゅっ!  脚の爪が、脚の肉球が、この白い世界に漂う冷気を感じとる。  つめたぁっ!!  僕は思わず叫んだ。  ぶわっ!!  その叫びが、白い湯気になって口から飛び出してきた。  んん?!  ふぅーーーーっ!!  ぶわーっ!!  うわーっ!おもしろい!!  僕の吐き出す吐息が、湯気になって飛び出してきた。  湯気は、はらりはらりと舞い上がると、この白い世界の上空へ溶け込んでいった。  よーし!!今度はもーーっとでっかい湯気を。  ふぅーーーーーーーーーーっ!!  僕は深く辺りの冷気を吸い込むと、身体中の空気を絞り出すように、口や鼻から吐息を吐き出した。  もわ~~~~~~~~ん・・・  大きな湯気は、これもまた豪快に舞い上がると、白い世界の上空へ溶け込んでいった。  ぜえ・・・ぜえ・・・肺が疲れた。  本当、何なんだよここ一帯が全部真っ白だよ。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加