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「あれ、光空……と、凛斗?」
二人が一緒に教室から出て行く。
嫌な予感と嫉妬心が身体中に走った。
やだ。
手を伸ばせば、私のもの。
手を伸ばせば、私のもの。
焦りが、私の背中を押していた。
走って走って走って。
いつもの廊下が長く感じられて。
階段の踊り場まで来た時、声が聞こえた。
いつもの声に、恥じらいと決心が混じった、私の知らない声。
「光空の事が、好きだった」
……何これ。
いつしか私はふっと方向転換して、さっきとは打って変わってゆっくりと歩いていた。
光空が、凛斗を。
本当は、凛斗が光空を好きになっただけなのに、私は嫉妬のあまり心が変な方向を向いていたのだ。
光空なんて。
光空なんて。
裏切り者___。
手に伸ばせば手に入ったんじゃない。
手を伸ばさなかっただけじゃない。
もっともっと、凛斗は遠い所に居たのだ。
その事実が悔しくて、私はどんっと地面を蹴った。
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