人間は猫の下僕

人間は猫の下僕である。寒くなって来るとそれは、特に明確になる。寒い日の朝、なんとなく寝苦しさで目を覚ますと白い塊が掛布団の上に鎮座していることがある。家で飼っている白猫が、人間を湯たんぽ代わりに布団の上にこっそりと乗っているのだ。人間の寝苦しさより、自分が暖を取るために布団の上に優雅に寝ているのだ。こちらが起きるため、当然猫をどかさなければならないのだが、退かそうと起こすと、猫は理不尽だと言わんばかりに人間を睨む。正直、ま、いいかと、人間も猫を乗せたまま二度寝したくなる。が、そうはいかないので「にゃー」という抗議の声を無視しつつ、寒い朝、人間は起きる。
で、太々しい猫は、まだぬくもりのある布団の上に戻り、朝、出掛ける準備をする人間をのんびり見送るものだ。