ましゅまろ

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 しかし、俺が会計を済ませた後で、息子は「これください」とレジの横に置いてあるお菓子を買っていた。一つ一つ形の違うオシャレなマカロンの包みを一つと、全部同じ形をしたマシュマロの包みを二つ。 「また来てねっ。可愛いお嬢ちゃんっ!」  息子に明るくそう言いながら紙袋を渡す女の店員さんに、俺は苦笑してしまった。  店を出ると、静かな雪が俺達を迎えた。肌に触れれば『ひんやりするなぁ』と感じる程度の粉雪だけど、念のため息子にはコートのふかふかフードを被らせた。  転ばせないよう手を繋いで、雪が濡らす道を歩く。 「さっきお菓子買ってたな。言ってくれればお父さんが買ってあげたのに」 「だめだよ。僕が買わなきゃ意味ないもん。プレゼントと一緒にあげるから」  冷たい粒から守るためか、小さな腕が紙袋の口をしっかり押さえる。  今日のお出かけは息子の付き添いだ。大好きな友達の誕生日プレゼントを買いたいから街まで連れて行ってほしいとねだられ、こうして雪の降る街中へと出てきた。  息子は積極的に他人と関わっていくタイプではないから、昔は俺や妻が心配するほど友達の影なんてなかった。だけどここ最近、しょっちゅう"(りつ)君"という友達の話を聞かせてくれる。買いたいプレゼントというのもその子の分らしい。  静かな雪の中で、何故か“かえるのうた”を歌い出す息子。季節外れな歌を奏でる声は、この上なく上機嫌だ。  ここなら何かしら見つかるだろうと思い、俺は息子を県内で一番大きなショッピングモールへ連れていった。
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