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怪奇オタク参上
『緊急搬送された』
『誰が?』
『あいつだよ』
七不思議、三つ目の担当をしてる「眠りウサギ」
同じ教室で過ごしていた時から眠ることの多かったそいつ。
ついたあだ名が「眠りウサギ」。
一時期は病気か?と疑ったこともあったけど、いたって健康だった。
でも、中学・高校と上がるに連れてそいつは変な夢を見るようになった。
今日はこんなだった。昨日はこんなだった。
俺はよく、そいつから夢の話を聞かされた。初めて変な夢を見た時も、真っ先に俺の方へ向かってきたそいつ。
俺たち同級生は仲がいいと思う。
他のとこがどんなかは知らないけど。
隠し事なんてあり得ないし、男女関係なく付き合いがあった。「いじめ」なんて言葉を知ったのは、進学でバラバラになって外に出た後のことだし、中には人ですらない同級生だっている。
事故で亡くなったやつの代わりに教室へ通い続けた猫。それがさくらだ。正式でないにしても、この猫は俺たちの同級生。
その関係は大人になっても続いている。中には同級生同士で婚約したやつらもいたし、地元に長い間帰ってこれないやつもいた。
でも、半分以上が地元に戻って就職するなりして外に出たやつらの帰りを待ってるんだ。俺は地元就職組の一人。
毎年、恩師の墓には大量の手紙と花が届く。
「また、みんなで集まろう」
そう俺たちは約束している。
誰も欠けることなく、また会えるんだ。
そんな「同級生」の中で何でそいつが俺に話を持ってくるかなんだけど。
単に俺が怪奇オタクだから。
UMAを信じてるやつとか、寺の家のやつとか、変なやつに好かれるやつとか。いろいろいるんだけど、怪奇現象全般に詳しいのは俺だな。
だから、大抵何が起こっても冷静に分析できるんだよ。あと、どんなはっちゃけたことでも信じる。
嘘だったら論破する自信はそこそこあるし、みんなからも何か変なことでわからなくなったらひとまず俺!ってくらい一目置かれてる。
だからだな。
そいつ「眠りウサギ」が俺に夢の話をしてたのは。
俺たちの地元にはさ。七不思議ってのがあるんだ。
あるきっかけがあって、その七不思議をクリアしよう。そう言い出したのは俺だった。
同級生に七不思議を割り振って、解明に乗り出したんだ。
バカだと思うだろ?
バカなんだよ。
バカみたいに信じた。
一つ目が「切り株」。
これは、母校の小学校に実際あったし、生徒の中でも話が有名だった。
さすが、一個目だよな。
この切り株は今でも学校にある。
ちゃんと探せば、古い文献も出てくるんだ。
二つ目が「バス停留所」。
これは、古い地図をもとに実際に回らないと話にならない。
大事なのは「地図」じゃなくて、「停留所」。辿る道のルートじゃなくてポイントさえ押さえればなんとかいけそうだった。
そして三つ目。
これが「砂時計」。
「眠りウサギ」が担当したやつだ。
さて、怪奇オタクの俺から「砂時計」の話をさせてもらうわけなんだけど、長くなるぜ?
あと、勘違いしないでくれよな。
この「砂時計」の話を解くのは眠りウサギであって、俺じゃない。
俺はただのヘルプなんだ。
本を漁って調べるのは簡単だ。でも、現実はその内容の通りとは限らない。
今、「砂時計」の七不思議を体験してるのはあいつなんだ。
それにさ。
俺の担当は七つ目なんだぜ?
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