2章・万能者 1

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2章・万能者 1

ブブ国、揚州(ようしゅう)淮南(わいなん)郡、郊外にて。 荒野、男2人が焚き火を囲む。 老練の冒険を思わせる老爺(ろうや)と、全身が青銅鎧の大男。 老爺ヨウは、赤い外套(がいとう)を布団に、荷物を枕に眠る。 大男センは、大盾を布団に、大剣を枕に眠る。 次こそは、谷のお宝を頂戴する。 2人は尋常でない気配で飛び起きた。 上空に有翼異形が3機、気配は騎乗する異形から。 電卓もそこに居た。 異形らが通り過ぎ、2人は座り込んで呆然とする。 強い装備を求めてこの国へ来たが、無謀だった。 「あれはやばい」 ばったや山菜からして、規格外な強さで戦慄していたが、 今の連中はどう考えても手に負えない。 普段は強者側で冷静・温厚なセンだが、血の気が引いて鎧も青ざめる。 ヨウの黒肌も青ざめて、白髭がさらに映える。 「この国を出よう」 無口なセンは、頷いて金属音を出す。 老爺の人生で、最もありがたい友の音となった。 生きてて良かった。
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