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「電卓よ、喜べ。
自己の確かな形が、この世のどこかにある。
刻印のある石板だ。そこまでは特定した」
玉座の左右にある矛と盾を、女王が装備した。
場の空気が一変し、官服の異形らは慌てて奏じる。
「矛盾矛と矛盾盾」
「栄光と破滅の金属」
女王が矛と盾を打ち合わせる。
目の前に、半開きな木箱の像が映る。
石板が入っているが、文字列のような刻印はぼやけている。
木箱の蓋が閉じるほど、くっきり見えた。
「この刻印があれば、真理が明らかになる。
自己も最強も、真実も理解できる。
新しい文明だ、我が国はついに全てを手に入れる」
「文字や記号ならば、計算できそうです。
私でも解明できるかもしれません」
「協力しろ。我が臣民となれ」
その日に電卓は仕官し、高官位にして女王直属の精鋭となった。
異例の経歴となるが、電卓の強さに誰もが納得し、歓迎した。
片田舎での戦闘で、鎧の異形に両手を使わせたからだった。
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