→FILE:01 半年後の世界

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 植物が枯れ、空を雲が覆い、世界から暖かさの失われた世界。  世界の秩序と安寧、そして生活を全て担っているAIたちの管理コンピューターを守る為に人間が生きる環境も大きく変わった世界。  生の植物を見た人がどれだけいるだろうか、もはや言伝に聞く過去の遺産と化すほど様変わりした今でも灰色のアスファルトを人々は集い、靴音を鳴らしながら街中を闊歩する光景は変わらない。 『本日は3月1日 正午12時ちょうどをお知らせいたします』  AIの電子音声が街中に轟く。 『今日も元気に行ってらっしゃい』  人間と大差ない生声が出せるくらいにこの一年で大規模な成長も上がった。  ゴミ掃除にも丸い円錐型にタイヤのついた自立移動型AI。通称AIRが担う。 『貴方の仕事をサポートするAIテクノロジー企業アカシック社』  ステレオから流れるCM広告。AIRにもアカシック社のロゴであるCDマークがついており、それが街の至る所の看板にも、広告がついている。 『AIRは無料で各企業へ順次お届け致します。足りなくなればお電話一本で』    これが工場仕事や生産業。果ては農業にまで影響を及ぼし、もはやAIの手の入らない仕事は存在しないというくらいだ。  なんと言っても、AIは文句も言わず、休みも給料もいらない労働力だ。営業側からすれば理想の戦力だ。 『次のニュースです』  だが、世の中の秤と言うのは中々均等にはなってくれない物だ。 『本日も、また失業者たちによるアカシック社への暴動が後を立ちません』  飛行船の巨大な電子モニターから、会社へ詰め寄る  ズタズタに破壊されたAIRを引き摺り、その瓦礫の山が跡を絶たない。 「ふざけんな! 出てこい、社長!」  AIRは殺人罪には当たらず、器物損壊。街の公共物を壊したくらいだ。暴動側にも躊躇がまるでない。  暴動は日に日に大きくなっていく。  一日も早くラインを稼働させねば業務に差し支えが出ると、我先に望む者たちは連日アカシック社へと押しかけている。
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