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地球の核に向かって旅をした少年は、そこで過去に戻れる技術を見つけた。そして彼はこの世界ができる前の時代に飛んだ。もっとも生きて帰れる保証はない。これは大きな賭けだ。しかし彼は命の危険をおかしてでもその時代に行きたい理由があった。それを求めて核へ向かったのだ。
結果は成功だった。でもどうやら死んでしまったようだ。なぜ「成功」かというと、彼は神のいる領域にこれたからだ。万物の元素を見るより神に聞いたほうが手っ取り早い。
しばらく歩くと神様がいた。しかも悩んでいた。この世界についてだった。だから聞いてみた。
「なんでこの世界を作ったの。」
「作ってみたかったからさ。」
「なんで生き物を作ったの。」
「作ってみたかったからさ。」
「今の世界に満足しているの。」
「していないから悩んでいるんじゃあないか。」
そしてそのまま悩み続けた。
またしばらく歩くとまた神様がいた。しかもまた悩んでいた。今度は人間についてだった。だから聞いてみた。
「なんで人間を作ったの。」
「ただの興味本位さ。」
「なんで人間を増殖させたの。」
「ただの興味本位さ。」
「今の世界に満足しているの。」
「していないから悩んでいるんじゃあないか。」
そしてそのまま悩み続けた。
またしばらく歩くとまた神様がいた。しかもまた悩んでいた。今度は生と死についてだった。だから聞いてみた。
「なんで『生まれる』を作ったの。」
「なんとなくさ。」
「なんで『死ぬ』を作ったの。」
「なんとなくさ。」
「今の世界に満足しているの。」
「していないから悩んでいるんじゃあないか。」
そしてそのまま悩み続けた。
またしばらく歩くとまた神様がいた。しかもまた悩んでいた。今度は彼自身についてだった。だから聞いてみた。
「なんで僕を作ったの。」
「その必要があったからさ。」
「なんで僕はここにいるの。」
「君の知りたいことがあるからさ。」
「僕は、この世に生まれてよかったの。」
「いいに決まっている。そのおかげで君は今、幸せなんだから。」
そうだった。
僕は
誰かに必要とされるためじゃなく
自分が幸せになるために
生まれてきたんだった。
ーーよかった
気がつくと、彼は自分の布団で寝ていた。でも彼の中にあったのは、絶望ではなく、幸せだった。
おわり
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