8人が本棚に入れています
本棚に追加
透明な血液
あなたの心臓には透明な血液が流れる
なぜ神は感情をきれいな雫で落とすことにしたのだろうか
そんなことを問うより先に、あなたの涙を見ればそれは明らかだ
ほんとうに申し訳ない
こんな私と道を共にしたばかりに
あなたはそんな顔をしなければならないのでしょう
我々は正しい愛を知らない
傷つけるばかりの、小さなけもののお遊びしか知らない
それがほんとうにはずかしくてたまらなくなる
みんなの前で青い炎に燃やされたわたくしのからだは、皮膚が爛(ただ)れ、些細な刺激に神経をすり減らし、虫が這うような痒みに耐えきれず
だから人と関わることなど考えられず
それなのにあなたの透明な血液が、嗄(しわが)れたこのこころに、なぜ流れる
私があげられるものなど、何もありはせず
この二本の腕は失うものなど持ってはおらず
それなのになぜあなたは、失ったら怖いものを、この腕に託したのだろうか
私は怖くてたまらないのに、触れてしまったから元には戻れない
私はそれを、ゆっくりと、一滴も残らず、飲み干した
最初のコメントを投稿しよう!