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この全ての感情は幼馴染みに起因していて、それを治められるのもこいつしかいなくて。腹が立つけれど、やっぱり頼もしくて好きなのだ。
うぅぅっと昨夜からの感情を引きずり小さく嗚咽を漏らすと、悪いと頭を引き寄せられた。賢二の広い胸板にどきっとする間もなく、耳ダンボで彼の言葉を聞く。
「俺だったら咲良に彼氏できたら速攻別れさせてる。咲良は俺のものってずいぶん前から決めてるからな。ほら、咲良も言ったように俺は有言実行なんだ。勝手にどっかいくとかやめろ。気持ちも全部寄越せ」
かぁぁっと一気に体温が上がる。飾り気のない気持ちをぽんっと豪速球で投げられて、完全にノックアウトだ。そんでもって、すっごく平然としてるから腹が立つ。
引き寄せられた頭をごそごそとずらして、こんな気持ちにさせられて嬉しいのに悔しくて賢二を睨みつけた。
「……横暴」
「そんな男が好きなんだろ?」
ひやりとパジャマの下に手を入れ腰に触れてくる。えっ、本当に何なの? 嫌ではない。嫌ではないけれど、昨日まで幼馴染みの域を超えてなかったのに急に男の部分を出されて気持ちが追いつかない。
「冷たっ。ていうか、急に何? 今までそんな感じじゃなかったのに」
「咲良が俺を好いてくれてるのはわかってたけど、今までは俺の気持ちに追いついてなかったし。でも、これで解禁だろ? 泣くほど俺がいいみたいだし」
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