ちかすぎて

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「えっ? 賢二ってそんなキャラだった? 違うよね? いつものクールな賢二はどこにいった? あと、手つきエッチィくさい」 「そりゃ、俺も男だからな。好きな女目の前にして、まるで触ってくださいとばかりにじっとされたらついつい手は出るよ。それに両思いってわかったんだから、こういうの隠さなくてもいいんだろ?」 「ほんと、急すぎるんだけど」 「咲良にだけだ。だから、追いつけよ」 「ほんと、横暴」  そう詰る自分の声が甘くなる。自分にだけ、いつもどっちでも良さそうな対応をする賢二がいろいろ仕掛けてくると思うと、悔しいけれどそれさえも賢二ポイントが上がっている。胸がさっきからキュゥ〜キュキュゥと変な音をさせて嬉し苦しい。 「ははっ。今更だろ」  爽やかに笑いながら、愛おしそうに目を細めおでこにキスをされる。ブワワワァとこれ以上無理だと思うくらい顔が火照る。意外と手が早い? いや、今までずっと一緒にいてのこれだから遅い?  もう、何が何だかよくわからなくなってきた。とりあえず、幸せだ。だけど、一気にいろんなことが駆け巡って咲良の思考はショートした。 緊張しているけれど、賢二が誰でもない自分のところにいることに心底安堵する。  誰のものでもなく、自分のそばにいる。この頼もしい腕が自分を抱きしめている。慣れた匂いがいつもより近くに感じて、ドキドキするけど優しく満たされる。
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