ちかすぎて

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「もう、なんなの?」 「おお、意識してる」 「意識しらいでかっ」 「あっ、噛んだ」  つつつっと背中を遊ぶように動かし触り、愛おしそうに笑う。もう、ドキドキしっ放しだ。カッコいいのに嬉しそうに笑う姿を可愛いと感じる。新たな一面を見せられて、動機が止まらない。  やらしいところも、そういうのを自分にだけ見せてると思うと嬉しくて。もう、誰にも渡したくない。諦められるわけなんてなかった。 「どこにも行かないで」 「っ、お前な。当たり前だ。で、好きってきいてないけど?」 「…………す、き」  全部寄越せとの言葉通りに、気持ちとともに言葉も要求されて、咲良はぷしゅぅぅと熱が弾けた。いっぱいいっぱいすぎる。 「俺も好きだ」  くっそう。なんで、そんな落ち着いていられるのか。  でも、ちゃんと真っ直ぐ見つめてくる眼差しが本気を教えてくれる。同じ熱量でぶつかる。求め、求められながら、大事にされている、のがわかる。
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