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そばにいたから、言わなくてもわかりあえる。それがすごく楽でものすごく安心感があった。だが、今となってはそれが返って仇となる。
そのあと、そっけない文面のラインがいくつかきたが、既読もつけずに画面を見るだけで放っておいた。
顔を合わせるのが嫌だとはぁぁぁっと溜め息をつき、もう一度ベッドに潜ろうかとちらりと背後に視線をやる。やる気がでないし、今日はとことんダラダラしたい。
だが、それさえ許さないとばかりに、聞きなれない音が咲良をかき乱す。
ボスッ、べチャッ
「??」
振り返ると、窓に雪の塊がぶつかりずるずるっと落ちていった。
「えっ? 何?」
ボスッ、べチャッ
ボスッ、べチャッっと窓が徐々に白く埋まっていく。
こんなことをする、しかもコントロールがいいのはあいつしかいない。
「賢二、窓汚れるっ!!」
ガラッと窓を開けたのをあいつは気付いたはずだ。なのに、そのまま咲良の顔にヒットさせるように雪玉を投げてきた。
「賢二っ!!」
咲良が雪を払いながら怒ると、賢二はむぅっと下から睨み上げてきた。
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