ちかすぎて

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「そこからしんどくなった」 「なら、余計俺に言えよ」  あんただから言いたくなかったのだ。でも、その理由までは言えず咲良は黙り込み、結局沈黙に耐え切れず口を開く。 「ごめん。でも、ちょっと放っておいて欲しい」 「何で?」 「何でって。特に理由はない。それに、賢二も彼女ができたんならこうしてるのまずいでしょ?」  言わせないでよ、こんなこと。触れさせないでよ、昨日の今日だよ?!  ぎゅっと目を瞑ると、さっき見た真っ白な雪を思い出す。 昨日の出来事も何もかも、恋心も忘れ去って清々しい気持ちになって普通の幼馴染みに戻りたい。  そうなるには確実に時間がかかるのだ。なのに、こいつは人の気持ちも知らないでずかずかと踏み荒らす。  白く、真っ白にただただ純粋に幼馴染みとして近くにいたい、そうなるように気持ちを改めようと思うそばから、そんな思いまでもぐちゃぐちゃにされているようでなんだか泣けてきた。 「咲良、何泣いてるんだ?」 「泣いてない」 「しかも、彼女って何?」
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